蛍光カラーの掛軸を作ってみました。

ちょっと前になりますが、6月、今年も、上野の東京都美術館にて、
一般社団法人 東京表具経師内装文化協会主催の、
「表装・内装作品展」が開催されました。

例年、どんな作品を出展しようか悩むのですが、
今回の掛軸の構想の発端は、昨年の作品展の会場でした。

例年、作品展で目立つことばかり考えている私は、
どんな掛軸なら、より一層目立つかなあと思案しておりました。
表装用の裂地は、ある程度使用される色味に偏り(?)があり、
ベージュ、茶、グレー、あたりが多く、
あとは、ダークグレー、紺、深緑、えんじ、あたりもよく使われている印象です。

例えるとこんな感じです。

こんな中で目立つには、何色だ?と思案しまして、
蛍光色だ!と思い至りました。
こんな感じになります。

目立ちそうですよね!?
ということで、蛍光色の裂で作品を創ろうと決めました。

そんな裂は、ネットで検索して手配することができました。
蛍光イエロー、蛍光グリーン、蛍光ピンク、蛍光オレンジ、の4色を購入。
いずれもポリエステル100%の布なので、普段使用している表装裂とは
扱いを変えないといけませんが、まあ、何とかなるでしょう!

こうして、作品展で人目を引きそうな裂は揃えたものの、
肝心な本紙(作品)はどうするんだ、という問題にぶつかりました。

仕立てたい掛軸の全体像はあるものの、
それに適した本紙が手元にない場合、表具師的には結構手詰まりです。
方法としては、①「自分で描(書)く」、②「作家に描(書)いてもらう」
③「市販品を購入する」
あたりかなと思います。

①について、絵心がなく、書道の経験もない私には、本紙の自作は無理でした。。

③市販品の購入も検討しましたが、少なくともネットで調べる限り、
今回の色味に合うような作品には巡り会えませんでした。

というわけで②「作家に描(書)いてもらう」の線で
進めていくことになりました。

まずは、「クラウドワークス」や「ココナラ」にて、
活躍されている作家さんに与件をお伝えし、作画を依頼しましたが、
上がってきた成果物は、ちょっとだけ今回の掛軸の本紙とはイメージが違いました。
(これらの作品は、おいおい掛軸に仕立てます。)

というわけで、本紙をどうしたものか悩んでいましたら、
たまたま我が家に日々創作活動に勤しむアーティスト(7歳)がいることに
気づきまして、さっそく駄菓子を報酬に制作を依頼しました。

できた作品はこちら。
(子供のやる気を引き出すため、ものすごい量の油性マジックペンを購入しました。。)

これをもとに掛軸に仕立てていきます。
作品の色と、裂の色が喧嘩せぬよう、相乗効果を発揮できるよう
意識してデザインしました。
思い描いたデザインはこちら。

これをもとに掛軸への仕立てを進めます。

いよいよ、掛軸製作の最終工程、上裏打ち。これも無事に終わりました。あとは、仮張板に張って乾かして仕上げるだけ、、です、、?!?
だめでした。。ここまで来て。。。
やはりポリエステルの布には通常の糊はつきづらいようで、裏打ちが浮いてきてしまいました。
最初の裏打ちの段階で、ちゃんと考慮すべきでした。。
こうなると、すべて最初から仕切り直しです。

この時点で、作品展までの時間が迫っており、
再び失敗した場合は、出展が出来ない可能性もあります。。
という事情もあり、不本意ながら意匠を簡素化しました。

こんな感じに。

絶対に失敗できない裂の肌裏打ちは、熱圧着で裏打ちしました。

そんなこんなで、なんとか作品展に間に合わせた作品はこちらです。

ちょっと意匠はシンプルになりましたが、蛍光色のインパクトは変わらず!、、だと思います。

会場にて、作家様と作品を撮影。

来場された方の評判も上々だったようで、うれしい限りでした。

話はちょっと変わりますが。
当店は、日々、様々な書道家・画家様から表装のご依頼をいただいております。
現代においては、単純に「書作品」「日本画作品」といっても、
多分に現代アートの要素を含んでおり、
従来通りの表具を施すことが難しい(≒従来通りの表具では作品の魅力が減じる)
と感じることもしばしばあります。

我が子たちは、任天堂switchのスプラトゥーンが大好きなのですが、
例えば、スプラトゥーンのような、鮮やかな蛍光色のイラストを描く画家さんがいたとして、
その方が作品を掛軸にして欲しい、と依頼された時、
自分はどんな提案ができるかなあと考えていました。

従来の表装裂を使用するとなると、
貧相な私のアイデアでは、鮮やかな本紙を殺さぬよう、
黒か白の無地裂を使用する、くらいしか思い浮かびません。

そのような消極的な表具ではなく、
より作品の魅力を高めるような表具を実現するためには、
化学繊維の裂や、熱圧着裏打ち、なども選択肢に入れられたら
提案の幅も拡がるなあと考えました。

今回の作品制作は、そんな意味においても、非常に糧になるものでした。

そんなこんなで、「表装・内装作品展」出展作品のご報告でした。

今後も、新しい掛軸のかたちを模索していきたいと思います!

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