徳島・高知 研修旅行のご報告

先日のブログでも触れましたが、私は現在、東京を中心とした関東近郊の表具師の組合「東京表具経師内装文化協会」の理事を務めております。
主な担当は「研修旅行の企画・運営」。約10カ月にわたり準備を重ね、このたび無事に実施することができました。今回はその研修旅行のご報告です。

■研修旅行の概要

今回の研修旅行は、東京表具経師内装文化協会と東京表具内装職業訓練校による合同研修として、徳島と高知を巡る2泊3日の行程でした。
訪問先は、阿波和紙や土佐和紙の漉元、阿波藍染の工場、さらに紙産業技術センターや歴史資料館など、まさに表具の仕事に直結する場所ばかり。とはいえ、普段の仕事ではなかなか触れることのできない作業や現場を間近に体感し、大変刺激的で学びの多い旅となりました。

■1日目(徳島)

羽田を出発し徳島空港へ。
昼食後、最初に訪れたのは「藍の館」。歴史ある邸宅と資料館を通じて、日本の藍染文化の奥深さを学びました。


続いて、「阿波和紙伝統産業会館(アワガミファクトリー)」へ。普段は目にできない機械漉きの現場や、和紙へのインクジェット出力機の作業場を見学。さらに、紙漉き体験ではそれぞれが思い思いの色付けを行い、オリジナルの和紙を製作しました。加えて、多彩な和紙のサンプルや見本帳もお土産としてご提供いただき、阿波和紙の幅広い魅力に触れることができました。

■2日目(徳島 → 高知)

午前は「本藍染矢野工場」で藍染体験。蝋を使った防染で模様を描き、染めるたびに深みを増す藍色に感動しました。私はグラデーションを意識して染めてみました。

昼食後は、藍の集散地として栄えた「うだつの町並み」を散策。歴史的な町並みを堪能したのち、高知へ移動しました。

午後は「土佐和紙工芸村」へ。漉き手の濵田博正さん、田村亮二さん・田村寛さん、内田海宇さんから直接お話を伺い、それぞれの紙の特徴や制作に込められた思いを学びました。
夜の高知市内での懇親会にも皆様にご参加いただき、通常は聞けないようなお話も伺うことができ、大変貴重な時間となりました。

■3日目(高知)

最終日の午前は桂浜や坂本龍馬記念館を訪問。今回の研修旅行で唯一の観光でした(笑)。

午後はいよいよ研修のハイライト。「高知県立紙産業技術センター」・「鹿敷製紙株式会社」・「いの町紙の博物館」の見学。
「高知県立紙産業技術センター」さんでは和紙繊維の分析作業といった貴重な現場を見学させていただきました。
「鹿敷製紙」さんでは、文化財修復にも用いられる極薄和紙の製造工程を間近で拝見し、さらに「原料は国産100%」という製造ポリシーについても伺うことができました。さらに、楮の表皮から茶褐色や黒色の部分を刃物で削いで綺麗な白皮にする、という和紙作りの一工程を体験させていただきました。専用のへぐり包丁というもので剥ぎました。コツがいりますが、するするっとうまく剥けるととても気持ち良かったです。

続く「いの町紙の博物館」では、土佐和紙の歴史や漉きの工程を学び、多彩な工房の紙を購入することもできました。
時間が足りない!との声が多くあがるほど、充実した展示内容でした。私自身も土佐典具帖紙などを複数購入しました。

こうして全行程が終了。表具師の仕事において、紙や他の工芸品の産地と直接つながることの大切さを改めて実感した3日間でした。

■感想

今回の研修旅行では、「和紙」や「藍染」といった日本の伝統工芸の産地を訪れ、その技と熱意を肌で感じることができました。
普段は仕上がった紙や裂を使う立場ですが、その背景にある職人の努力や歴史を知ることで、表具の仕事に対する意識が大きく変わったように思います。

表具師としてまだ学ぶことは数多くありますが、「素材と真摯に向き合うことの大切さ」を改めて心に刻んだ3日間でした。
この学びを日々の仕事に生かせるよう、これからも精進してまいります。

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