古糊の水換え2026 ~毎年恒例、表具作業に欠かせない古糊の状態確認~
毎年、大寒の時期に行う、古糊の水換え。今年もこの季節になりました。
古糊とは何ぞや?という方は、2025年のブログに詳しく書いてありますので、是非ご覧下さい。
とても簡潔にまとめると、
古糊(ふるのり)とは、小麦粉由来のでんぷん糊を数年以上熟成させた、表具師が用いる特別な糊です。
接着力が弱く柔らかいため、掛軸などをしなやかに仕立てられます。また簡単に剥がすことができるため
修復時も本紙への負担を抑えられます。
市販はされておらず、表具師が時間をかけて自ら作る、門外不出、唯一無二の糊です。
といった感じです。
本日は、そんな古糊が入った甕の水を、年に一回換える作業のご報告です。
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現在、当表具店で保管している古糊は「2018年に作ったもの」のみとなってしまいました。
2年に一回、新たな糊を甕に入れて熟成・発酵させてきたのですが、
翌年、水換えのために甕を開けてみると腐っていた、というケースが相次ぎ、
結局、2018年に作ったものだけが、順調に古糊へと生育を重ねている、という状況です。
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そんな2018年モノの甕がこちら。

封を開けます。

続いて蓋を開けます。

ほぼ例年通りの見た目。白いカビがびっしり生えています。ただ、全然臭くはありません。
この表面のカビの層を、ズルっとバケツに捨てます。そして、甕の中の水もバケツに。

カビの層を捨てたあとの甕の中はこんな感じ。

表面はヌルっとしていますが、とってもきれいです。ちょっとヨーグルトっぽい匂いがします。
このヌルヌルを取り払うとこんな感じに。

綺麗です!
ここに水を注ぎます。

蓋を閉めたら、また1年、冷暗所で寝かせます。
来年も無事に成長していることを祈っています!

こんな感じで無事に水換えが完了しました。
でも、やはり甕が一つしかないのは寂しいです。。
実は今年は、私が所属している江戸表具研究会「表粋会」の2年に1回の糊炊きが行われました。
私は所用で参加できなかったのですが、心優しい会員の方々に、私の分の糊も作っていただきました。
というわけで、今回はその糊にも水を張って、古糊になるよう、保管していきたいと思います。

こちらができたての糊。甕に対してたっぷりの量ですね。
思えば、2018年当時の糊もこれくらいの量がありました。毎年少しずつカビと共に嵩が減っていっているのですね。
さて、この糊を古糊になるように水を張っていくわけですが、これまで何度も失敗して腐る、ということを繰り返していて、
さすがに何か手を打たないとまずい、と思っていました。
失敗の原因推察①
甕の中の糊が十分に冷え切ることなく水を入れて、蓋を閉めてしまっていて、結果、中で雑菌が繁殖しているのではないか。
こんなことを考えました。(ご助言いただいた嶋根さん、ありがとうございました。)
そんなわけで糊の表面に手を置いてみたところ、糊炊きから一晩経っていたものの、
まだちょっとだけ温もりがあるような気がしました。(気のせい?)
そのため、さらに外でもう一晩、中の糊が十分に冷え切るように寝かせてみました。

冷え切ったことを確認し、水を張り、蓋を閉めます。

続いて。
失敗の原因推察②
甕の保管に適した場所は、冷暗所と言われています。
当方の甕を置いている環境は、気温は一年中通して低めで、夏場でも冷房がいらないくらいなのですが、
空気がこもっていて湿気はかなりありそうなのです。当然、そのような環境ではカビの増殖が起こりそうなので
これが原因という可能性もあります。(なぜ2018年物だけは無事なのかは謎ですが。。)
というわけで、今回の甕は保管場所を変えてみようと思います。
気温に関してはそこまで低くはないのですが、湿度が低めの場所。

こちらの寝床にて、1年間安らかにお眠りいただこうと思います。
(と言いつつ、夏場あまりに暑そうだったら移動するかも。)
そんなこんなで、今回の古糊の水換えのご報告を終わります。
また来年のご報告をどうぞお楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


