「江戸表具」公式ホームページリニューアルのお知らせ
私は現在、東京を中心とした関東近郊140社以上の表具店が加盟する団体「東京表具経師内装文化協会」の理事(広報担当)としても活動しています。
その広報事業の一環として今回取り組んだのが、「江戸表具公式ホームページのリニューアル(コンテンツ追加)」です。
当協会では、協会の公式ホームページとは別に、江戸表具の魅力を発信する専門サイトを2025年3月に開設しました。
今回は、その内容をさらに充実させるため、コンテンツの追加と改修を行いました。
■ なぜリニューアルしたのか
本サイトは、同業の方はもちろん、一般の方にも広く江戸表具の価値を知っていただくことを目的に開設しました。
しかし実際には、専門的な内容が多く、一般の方にとってはややハードルの高い内容になっていたのも事実です。
また近年、住宅様式の変化により和室が減少し、掛軸・屏風・襖といった表具に触れる機会も少なくなっています。
一方で、日本文化や伝統工芸への関心は、国内外で高まりつつあります。
こうした状況を踏まえ、より分かりやすく、より多くの方に伝わる形で江戸表具の価値を発信することを目的に、今回のコンテンツ追加・リニューアルを行いました。
■ 今回のリニューアルで行ったこと
・襖の製作工程動画
江戸表具の伝統工芸士が実際に襖を製作する様子を収めた動画を新たに制作・公開しました。
複数回にわたる下張りなど、伝統的な工程を経て仕上げられる襖づくりの流れを、実際の作業を通して紹介しています。
刷毛や刃物といった道具を使い、精度高く仕上げていく様子や、手間と時間をかけて形になっていく過程をダイジェストとしてまとめ、伝統的な襖の魅力を視覚的に感じていただける内容としています。
※動画はYouTubeでもご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=JQapG51WHzM

・材料・道具の紹介
裂地、和紙、糊、刷毛など、表具を支える多様な材料を紹介しています。
また、工程ごとに使い分けられる専門的な道具についても解説し、表具の仕事が多くの素材と技術によって成り立っていることを伝えています。
専門的な内容でありながらも、写真を交えてできるだけ分かりやすく説明することで、一般の方にも理解していただける構成としました。

・伝統工芸士の紹介
厳しい審査を経て認定される「伝統工芸士」の紹介ページを新設しました。
江戸表具の技術と品質を支える職人の存在を可視化し、製作や修復の相談に対して、専門的な技術を提供できる体制があることを伝えています。

・サイト全体の英語翻訳
サイト全体を英語対応とし、海外ユーザーにも江戸表具の魅力を伝えられる構成としました。
日本文化への関心が高まる中、表具の技術や美意識を国際的に発信していくことを目指しています。

■ 広報主担当として、そして表具師として
今回のリニューアルには、私が主担当として企画段階から深く関わりました。
- コンテンツ構成の検討
- 文章の作成・調整
- 掲載写真のディレクション
- 襖製作動画のディレクション(出演者調整・事前準備・撮影立会い等)
- プレスリリースの作成、配信(PR EREEにて)
特に動画については、「どこを見せるべきか」「何を削るべきか」を現場目線で判断する必要があり、単なる広報ではなく、職人としての視点も求められる内容でした。
正直なところ、経験の浅い自分には荷が重いと感じる部分もありましたが、広報チームの皆様の多大なご協力のもと、非常に完成度の高い内容に仕上がったと感じています。
■ 実際に感じたこと
今回の取り組みを通して強く感じたのは、
表具は“依頼を待つ仕事”から、“伝えていく仕事”へと変わりつつある
ということです。
これまでは、掛軸や屏風をお持ちの方からのご依頼があって初めて仕事が成立していました。
しかしこれからは、
- 現代の住空間にどう取り入れるか
- 初めての方にどう興味を持ってもらうか
といった視点が、より重要になってくると感じています。
■ 最後に
今回のリニューアルはゴールではなく、あくまでスタートです。
江戸表具の魅力をより多くの方に伝え、実際のご依頼や新たな活用につなげていくため、今後も内容の充実と発信の強化を続けていきたいと考えています。
表具という仕事を、“特別なもの”ではなく、“身近な選択肢の一つ”として感じていただけるように。
今後は、現代の住空間に合う表具の提案や新たな商品開発の発信などを通じて、江戸表具の可能性をさらに広げてまいります。
伝統を守るだけでなく、現代の暮らしの中で生きる技術として、その価値を次の世代へとつないでいきたいと思います。


