表装裂を使った「和風おせろ」のご紹介。表装作品展@東京都美術館に出展した作品です!
先日ご紹介しました掛軸に続き、
6月に開催された「一般社団法人 東京表具経師内装文化協会」主催の作品展、
「表装・内装作品展」に出展した作品をご紹介します。
以前に、表具の技術や素材を用いて、何か新たな製品を生み出すことができないか、
という試みを、東京表具経師内装文化協会にて行っていました。
外部のコンサルさん・プランナーさんにもご協力いただき、様々なご提案をいただきました。
結果として、「これだ!」という製品の開発には至らなかったのですが、
個人的に、その時の数々のご提案の中で、是非かたちにしてみたい、というものがありました。
それが、「オセロ」でした。
表具で用いる裂を使って作ってみたら、面白いものができるのでは、と想像しました。
そんなことを思ったのが昨年。
まずは、公式オセロ盤を購入。サイズなどはこれに倣うことにします。
ちなみに。オセロは株式会社メガハウスの登録商標とのことで、一般名称はリバーシと言うそうです。
ルールなどはほぼ同じ、とのこと。
オセロの駒?(石?)といえば、黒と白、ですが、せっかく表装の裂を用いるのであれば、
白黒だけでは物足りないな、と感じまして、
手持ちの古裂と、黒での対決にすることにしました。
古裂もなるべく鮮やかな色、派手な柄の裂を使って、無地の黒との差が際立つようにしようと思いました。
選別に選別を重ね、この辺の裂の良いところを使おうと決めました。



駒(石)の裂が決まったところで、まずは盤面を作ることにします。




オセロって、マグネットでピタッとくっつくイメージがあったので、
それを再現しようと思い、盤面には磁石を仕込むことにしました。
表具のオセロ、ですので、盤面にも表装裂を使います。
そしてせっかくなので、本物のオセロとは意匠をちょっと変えて、
クッションのような柔らかな膨らみのある盤面にしました。
そんなパーツを8行×8列=64個製作し、盤面完成です。


続いて、駒(石)の製作へ。
磁石がつくよう、表と裏は円形のスチール。
それだけだと薄いので、厚み要員として、木チップを挟むことにします。
円に綺麗に裂を張るのって、結構難しいんです。
裂は全て裏打ちしました。円形にカットするのは、実は意外と簡単で、こんな時に重宝する円形カッターで一瞬で切れます。



真ん中に挟む木チップは、側面に金箔を巻くことにしました。派手に行きます!
木の下地にそのまま金箔紙を張ると剥がれやすいので、いったん下張りを。
良い作品に仕上げるため、手間は惜しみません。



こうして、駒(石)も完成です。



マカロンみたい、といろんな人に言われました(笑)
続いて、盤面の仕上げです。周囲に額縁をつけます。


一気に引き締まりました。
続いて、裏面の仕上げ。表具師たるもの、普段は見えないところにも気を配らねば!
ということで、駒(石)と意匠を合わせて、金の筋が要所にチラッと見える仕立てにしました。
額のように壁に掛けることはないので掛け紐は本来いらないのですが、
展示の手法(後述)を見据えて、紐と金具をつけました。
置いたときにそれが干渉しないよう、四隅に脚を付けて浮かしました。
この辺の意匠も、「金筋チラッ」に揃えました。



作品としてはこれで完成なんですが、発端が新商品開発だったこともあり、
今回は収納箱にもこだわりたいなと思い、製作しました。こちらは駒(石)の収納箱。






本体+駒の収納箱。



段ボールの表面の一部が破けてしまってます。。
本当はもうちょっとこの辺の箱の素材や仕様にもこだわりたかったのですが、今回は時間切れで、この仕様となりました。
後述すると記載した展示の手法ですが、
額のように、垂直に壁に掛けて飾れたら面白いなと思った次第です。
古裂の色と柄の美しさと、黒とのコントラスト。
ゲームの勝敗が決した盤面は確率的にほぼ2度と巡り合えないアートでもあります。
そんな盤面をそのまま壁に掛けられたら良いなと。
そんな思惑もあって、強めの磁石を盤面に仕込みました。
が、、、。搬入設営日の3日前。
いざ、盤面に駒を置き、垂直に立ててみたところ、、
駒が盤面から滑り落ちる、落ちる。。
磁石購入直後の試験ではしっかりとホールドされていたのですが、、
磁石って、磁力のないところで放置しておくと、こんなに急激に磁力が弱まるんですね。。
知りませんでした。。
急遽、盤面に仕込んでいる磁石よりかなり強力な磁石を翌日着で手配。(Amazon様様!)
磁力を戻すべく、養生タイム。

翌日確認すると、しっかり磁力が戻ってましたが、さすがに1週間の会期を考えますと
垂直状態での展示で、途中で駒が落下するような事態は避けたいと思い、
斜め45度くらいの展示とすることにしました。
そんなこんなの紆余曲折あっての展示がこちらです。








隣の「奏」の軸と合わせて、なんとなく色と形的に武笠表具店コーナー感が出せたような気がします。
「奏」の掛軸は、人気投票で5位に選んでいただきましたが、
こちらの「おせろ」も大変多くの方から好評いただきました。
どうやって出来てるの?どれくらい製作時間かかった?これ、いくら?
の声もたくさんいただきました(笑)
また来年、どんな作品を創ろうか、じっくり考えてみます!


